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AIとの付き合い方考えごと

「何を言ったか」より「誰が言ったか」。AIに一番足りないもの

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「何を言ったか」より「誰が言ったか」。AIに一番足りないもの

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AIが答えを出せない 問いの設定力』(鳥潟幸志)という本に、こんな一節があります。「生成AIから提案される内容は、どれも間違ってはいない。しかし、いずれも決め手にかける」。

AIが出した案は正しいのに、なぜか最後の一歩が決まらない——。正直に言うと、私自身は、お客さんがそれで止まってしまう場面に、はっきり出くわしたことはありません。ただ、この一節を読んで、少し別のことを考えました。

今は「何を言ったか」より「誰が言ったか」

最近感じているのは、目の前で言われた「内容」そのものよりも、「誰が言ったか」のほうが重みを持つようになっているな、ということです。同じことを言っていても、誰の口から出たかで、受け取られ方がずいぶん変わる気がします。

ベンダーが言うと不安、私が言うと通る

思い当たる場面があります。開発をお願いしているベンダーから「この方針でいきましょう」と提案が出ても、チームの中では「正直、ちょっと不安があるね」という空気になることがあります。ところが、同じ流れで私が「これでいいと思いますよ」と言うと、そのまますんなり通ってしまう。

言っている内容は、ほとんど同じなんです。技術的にはベンダーのほうがずっと詳しいことだって多い。それでも、通り方が変わる。ここに「誰が言ったか」の力が、はっきり出ている気がします。

でも、それは私が偉いからじゃない

ただ、これは私の立場が上だからとか、私が特別すごいから、という話ではないと思っています。効いているのは、もっと単純に「その人の人となりを知っているかどうか」なのかなと。

さっきの場面も、長くご一緒してきたから、というのが大きいと思います。私がどういう人間で、普段どんなふうに考えて仕事をしているかを、チームの人たちが知ってくれている。だから「この人がいいと言うなら」となる。積み上がったのは、実力の証明というより、ただ一緒に過ごしてきた時間のほうなのかもしれません。

AIに足りないのは「背景」だった

ここまで考えて、AIに足りないものが少し見えた気がしました。背景です。

AIが何かを提案してきても、AIが「どうしてそれを提案しているのか」、その裏側は人には分かりません。一方で人間が言うときには、「ああ、この人は実際にこの課題で困っていて、なんとかしたくて言っているんだな」という切実さが伝わってきます。その背景が見えるかどうか。信用に足るかどうかは、案の正しさよりも、そこにある課題の背景で決まっているように思うんです。

そして、AIにはその背景がありません。人にはある。たぶん、その差なんじゃないかなと思っています。

だから、AIの「正しい答え」は決め手にならない

本の一節に戻ります。「正しいのに決め手に欠ける」の正体は、内容の精度ではなく、この背景の不在なのかもしれません。どれだけ正しくても、なぜそれを言っているのかが見えない提案は、人を動かしきれない。逆に、多少粗くても「この人は本気で困って言っている」と伝わる言葉には、人は動く。そういうことなんだろうなと思います。

じゃあ、AIをどう使えばいいか

では、AIを入れてみたのに「決められない」で止まっているとき、どうすればいいのか。私なりの考えはこうです。

まず、「なんとなくありそうな課題」をAIに探させないこと。そうではなく、自分が実際に困っていることを起点にする。そのうえで、「この課題をどう解けばいいか」をAIに相談しながら、事業を前に進めていく。相談して出てきたやり方が、自分で納得できるものであれば、それを推し進めればいいと思います。

そうやって進めていくと、周りの人にも「この人は本当にこの課題に困っていて、なんとか解決したいんだな」という背景が伝わっていきます。それが伝われば、たぶん、みんな協力してくれる。AIはそのための相談相手として使う。決めるのも、背景を持って人に動いてもらうのも、最後はやっぱり人なんじゃないかなと思います。

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