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実作業は数分、見積もりは7万円。その差額の正体をエンジニアが解剖する

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実作業は数分、見積もりは7万円。その差額の正体をエンジニアが解剖する

「サイトのテキスト修正とバナーの差し替えをお願いしたら、見積もりが7万円だった」——似たような経験はないでしょうか。高い気がする。でも、妥当なのかどうか判断できない。誰に聞けばいいのかも分からない。

私はエンジニアとして、この「7万円」を発注する側の会社の中から見てきました。結論から言うと、この見積もりはぼったくりではありません。でも、払い続けるしかないわけでもありません。順番にお話しします。

実話:予算が苦しくなって、初めて「やれませんか?」になった

テクニカルディレクターとしてご一緒していた会社での話です。その現場では、サイトのテキスト修正も普段からベンダーさんに依頼していて、その都度7万円ほどを支払っていました。それが当たり前の運用として回っていたんです。

ところがある時期、予算があまり使えない事情ができて、7万円を払うのもシビアになりました。私がエンジニアであることは現場で知られていたので、「これ、やれませんか?」と相談が来ました。

引き受けてやってみたところ——実作業は、数分でした。触ったことのないプログラミング言語でしたが、今の時代、ある程度経験のあるエンジニアならAIの助けを借りてすぐに直せます。

それでも、7万円は「ぼったくり」ではない

「数分の作業に7万円!?」と思われたかもしれません。でも、ベンダーさんの立場で見積もりを組み立て直してみると、こうなります。

  • 窓口対応(依頼内容の確認・やり取り)
  • 実装(修正作業そのもの)
  • コードレビュー(別の人による確認)
  • 動作確認
  • デプロイ(本番への反映作業)

どの項目も、仕事として受ける以上は省略できません。それぞれに最小の工数——たとえば0.25日や0.5日——を割り当てて、エンジニアの単価を掛けていくと、だいたい7万円くらいになります。杓子定規に見積もると、そうなってしまうんです。

車の車検や修理と似ています。部品そのものは安くても、工賃を含めた請求額は驚くほど高い。でも、お願いするしかない。自分たちではできないのだから。そしてその工賃には、整備士さんが積み上げてきた技術への対価が含まれています。エンジニアの見積もりも同じで、作業時間は数分でも、その数分で直せるようになるまでの積み重ねに値段がついている——機械的に判断すれば、発注側は納得して払うべき金額だと私は思います。

ただ、私は「それ、やっておきますよ」と言うことにしている

ここからは、私個人の商売の考え方です。理屈のうえでは7万円に正当性がある。それでも私は、普段からご一緒している会社の簡単なテキスト修正なら、「それくらい、やっておきますよ」と言うことにしています。

短期的に見れば、律儀に請求したほうが儲かるのかもしれません。でも、小さな修正を気持ちよく引き受けていると、発注側は助かるし、信頼が積み重なっていきます。そして、いざそれなりに大きな改修が必要になったとき、余計な心配をされることなく、金額に納得して発注してもらえる。商売としては、そのほうがずっと健全かなと思っています。

一方で、原則は「開発はベンダーに任せる」

誤解のないように書いておくと、私がいた現場では「開発はすべてベンダーさんに任せる」という原則を、みんなに持ってもらっていました。私が直すこと自体は簡単でも、もし後から障害が起きたときに「誰が直した部分の責任なのか」——責任の分かれ目が曖昧になってしまうからです。

先ほどの「私がやった数分の修正」は、予算の事情があってのあくまで例外です。「安く済ませたいから社内でやる」と「何かあったときの責任の所在」は、分けて考える必要があります。ここを雑にすると、7万円どころではない損失につながることもあります。

明日からできる、見積もりを安くする工夫

では、社内にエンジニアがいない会社は黙って払い続けるしかないのか——そんなことはありません。実際、私が現場でよく受けるのは「ベンダーに依頼するにしても、どうすればもう少し安くできそう?」という相談です。たとえば、こんな工夫があります。

  • 修正はまとめて依頼する。テキスト修正を1件ずつ発注すると、そのたびに窓口対応もデプロイも発生します。5件まとめれば、デプロイ作業は1回で済むはずです
  • 大きな改修の「ついで」に混ぜる。大きめの改修をお願いしているタイミングで、「これもついでにお願いできますか」としれっと添える。ベンダーさん側も、作業が立ち上がっているときの追加は受けやすいものです

どちらも小さな工夫ですが、見積もりの構造(作業そのものより、その前後の段取りにお金がかかっている)が分かっていると、自然に思いつけるようになります。

会社としての選択肢は、正直どれも簡単ではない

もう少し引いた目で、会社として取れる選択肢を並べると、こうなるかなと思います。

  1. ITに詳しい人を社内に置く——いちばん確実です。ただ、正直そんなに簡単ではありません
  2. 社内でエンジニアを育てる——これも時間がかかり、簡単ではありません
  3. 納得して払う——IT人材はとても貴重である、と自覚したうえで、対価として支払う
  4. 信頼できるベンダーを探す——ただこれは、言ってしまえばガチャのようなもので、一緒に仕事をしてみないことには相手のことは分からないんですよね

どれも「これで解決!」とは言えない選択肢ばかりです。でも、少なくとも見積もりの中身が読めるようになるだけで、モヤモヤは減り、ベンダーさんとの会話も変わってくるはずです。

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