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「AIで月150時間削減」の裏側——1000記事以上のリライトが終わらなかった現場で起きたこと

文:

「AIで業務を自動化して、月150時間削減しました」——私のサイトにはそう書いてあります。ただ、この一行だけを見ると、まるで魔法のように聞こえてしまうかもしれません。実際には、何気ない雑談から始まって、地味な試行錯誤を重ねた先にたどり着いた数字です。この記事では、その裏側をお話しします。

きっかけは、定例会議の雑談だった

ご一緒していたのは、オウンドメディアを運営している組織です。5年以上続いているメディアで、記事は1000件以上。長く続いているぶん、内容が古くなってしまった記事も増えていました。

そこでコンテンツチームが進めていたのが、古い記事を今の内容に書き直す「リライトプロジェクト」。ただ、これがなかなか大変でした。1記事を書き直すのに半日、さらにレビューの時間も別にかかります。それが1000件ですから、先の長い話です。

定例会議でその話が出たとき、「それ、AIに任せてみるのはどうでしょう」と軽く提案してみました。ここから、このプロジェクトが始まりました。

作ったもの:「選んで、確認して、入稿」だけのツール

作ったのは、コンテンツチームが使う社内ツールです。使う人の目線では、流れはこれだけです。

  • ツールに記事の一覧が表示される
  • リライトしたい記事にチェックを付けて「作成」を押す
  • AIが、あらかじめ決められたルールに従って記事を書き直す
  • できあがった文章を人が確認する
  • 問題なければ「入稿」を押すと、そのままCMS(記事を管理するシステム)に登録される

人の仕事が「書く」ことから「確認する」ことに変わった、というのがポイントです。書く作業はAIに渡しつつ、世に出すかどうかの判断は最後まで人間が持っています。

動くものは1日でできた。大変だったのはそこからだった

意外に思われるかもしれませんが、このツール、動くものができるまで1日かかっていません。「AI導入」と聞くと数ヶ月がかりの大きなプロジェクトを想像される方も多いのですが、仕組みを作ること自体は、実はそれほど大変ではないのです。

時間がかかったのは、そこからでした。AIが書いた文章の「質」の調整です。

いちばん多かった指摘は「うちのメディアっぽくない」

できあがった文章をコンテンツチームにレビューしてもらうと、返ってくる指摘でいちばん多かったのがこれでした。

うちのメディアっぽくない。

文章として間違っているわけではないし、日本語としても自然。でも、5年かけて築いてきたそのメディアの「らしさ」が出ていない——。AIの品質問題というと「事実の間違い」を想像しがちですが、実際の現場でハードルになったのは「らしさ」のほうでした。

そこからは、AIに与えるルールの調整です。会社のブランドを損なう表現をしないこと、記事の構成をどう組むか。ルールを直しては、コンテンツのプロにレビューをお願いする。その往復を重ねて、少しずつ「らしさ」に近づけていきました。仕組みづくりよりも、ここにいちばん時間を使っています。

「月150時間削減」の中身

数字の根拠も書いておきます。もともと1記事のリライトに半日かかっていたのが、このツールでは1時間で10本以上を処理できるようになりました。そこから月あたりの削減時間を計算すると、150時間という数字になります。

魔法のような話ではなく、「半日かかっていたものが、まとめて短時間で終わるようになった」という積み上げの結果です。

浮いた150時間はどこへ行ったか

ツールが回り始めると、コンテンツチームにはとても喜んでもらえました。そして浮いた時間は、SEOをどう強化するか、今後どんな記事を作っていくかといった、いわば「人間の知恵を使うための時間」に変わっていきました。

AIがリライトした記事がどれくらいの効果(流入数など)を出しているかの分析も、チームのほうで続けてくれていました。AIを入れて終わり、ではなく、AIが生んだ時間で人がより頭を使う仕事をする——この形になったことが、時間の数字以上の成果だったのかなと思っています。

AIに任せていい仕事の見分け方

この経験を通して、「AIに任せられる仕事かどうか」について、こんなふうに考えるようになりました。

すでにルールが定まっている仕事は、AIに任せるにはもってこいです。今回のリライトがまさにそうで、「こういうルールで書き直そう」が社内で先に決まっていました。だからこそ、AIに渡せたのだと思います。

逆に、任せにくいのは「ルールを定めること」そのものです。会社には、それぞれに根付いたルールやブランドがあります。それを言葉にして守っていくのは人間の役目。ルールが定まったら、そこからがAIの出番です。そして最後に、AIが出したものを確認するのも、やっぱり人間の役目です。

  • 人が、ルールを決める
  • AIが、作業する
  • 人が、確認する

この「サンドイッチ」の形にできる仕事なら、AIはしっかり働いてくれます。もし社内に「毎月時間を食っているのに、やり方はほぼ決まっている」という作業があるなら、それはAI自動化の有力な候補かもしれません。

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